はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
なんとか言葉を詰まらせることなく挨拶が出来て、ホッと胸を撫で下ろす。パチパチと拍手をされて、彩音と揃って頭を下げた。

頭を上げながら、支配人がいた場所を見てみるけれど、そこにはいなかった。

が、いつの間にかすぐ近くにいて体が思わず飛び跳ねそうになる。瞬間移動は心臓によろしくないです……。


「仲村さん、横川さん。がんばってくださいね」

「はい、ありがとうございます」


支配人は当たり障りのない激励の言葉と爽やかな笑顔を残し、営業部長と予定があったのか、話ながらフロアを出ていく。

支配人は本社に来ることも多そうだ。現場勤務ではなくなったから、会うことはほとんどないと寂しくなっていたけど、姿が見られるのなら嬉しい。

出ていく支配人を目で追っていると、隣の彩音から腕を掴まれた。なにかと彩音を見ると、信じられないものに遭遇したという顔をしていた。

微動しない彩音の視線の先にはひとりの男性がいて、その人はこちらに向かってきていた。

モデルみたいに長身でかっこいい人だけど、初めて見る人で、その人も彩音だけを見ていた。

彩音の知り合い?
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