はずむ恋～見つめて、触れて、ときめく～
今の私には悪いタイミングで、恨みたくなる偶然だ。

だけど、頭で思っていても心と体は違っていた。支配人を目の前にして、胸は高鳴っていて、体は熱くなる。

そう、私の心と体はこの状況を喜んでいる。

ダメ、ダメ。

ほら、早くトイレに行って！と頭では警鐘を鳴らしているのに、彼から目が離せない。偶然出会えたことに心は弾んでいる。

でも、傷付く結末が待っていると断言できることではないんじゃないかな。恋には予想外の結末だってあるかもしれない。


「支配人」

「ん？ なんか困ったことでもあった？」

「いえ、ないです」

「何かあったら、何でも言って。出来る限りの対処はするから」

「はい、ありがとうございます。あの」


支配人は「うん」と早速聞く体制を見せた。頼りになる上司だけれど、頼りたいのではない。


「好きになってもいいですか？」

「は？ 俺を？」

「はい。ダメですか？」

「いや、ダメじゃないけど」

「ありがとうございます！ では、失礼します」

「えっ、ちょっと……」


ダメじゃない、好きになってもいいという了承を得たからスッキリとした気持ちでトイレに向かった。

戸惑う支配人を置き去りにして……。
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