はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
彩音はビールで喉を潤してから、しみじみと言う。

振られたら臆病になる、確かにそうなのかも。私は告白したことがないから、振られたこともない。

きっとものすごく勇気を出したに違いないから、傷も深い。でも、それでもまた会えることをずっと願っていた。

だから、その願った気持ちを無駄にしてほしくない。私が堂々とアドバイス出来ることはなにもないけど、これから何が起こるかは分からない。


「これからは片瀬さんとほぼ毎日顔を合わせるのだから、話はちゃんとした方がいいと思うよ」

「うん、分かってる。でも、二年も会えなかったから、湊人さんにはもう彼女がいるかもしれなくて、それを言われるのかなとか悪いことばかり考えちゃう」


悪いことは考えるときりがない。でも、良いことだって、考えたらきりがない。


「奇跡なんでしょ? ふたりで願ったんでしょ? また会えるという奇跡を」

「うん、願いが叶って、会えた」

「それに彩音はまだ好きなんだよね? 一度振られたなら、また初めからがんばってみない? 私もがんばるから」

「は? 藍果も?」
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