はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「藍果ちゃん、せっかくなので笑いましょう」

「えっ、あ、はい……」


表情を強張らせていた私に、好みの顔が近付いて、優しく微笑んだ。それに、まさか名前まで読んでくれるなんて!

私は頬を赤くして、口元を緩めた。母が楽しそうにシャッターを切る。

そして「ご利用いただき、ありがとうございました」と見送られて、ホテルをあとにした。


「もうお母さんったら、あんな無茶振りしないでよ。助けてもらった記念にって、なんなの」

「えー、記念にといったら記念よ。良い思い出になるでしょ。帰ったら、プリントアウトしてあげるからね」


マイペースな母に呆れながらも、写真をもらえることは嬉しかった。もう二度と会うことはないだろうけど、かっこよくて優しい人だったな、高梨さん……。

***

あ!

同じ高梨さんだ!

あのどこかで見たことあると思った支配人も高梨さんという名前だった。

もしかして、同一人物?

オリエンテーションのあとの懇親会も終えて、帰宅した私はベッドに寝転んで、七年前を思い出していた。

そして、あの日と今日を繋げた。


「しゃ、写真!」

高梨さんとの写真は、ウエディングドレス姿の従姉と撮った写真と共にアルバムに保管していた。
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