はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
本棚の片隅にある背表紙が水色のアルバムを取り出す。

母にプリントアウトしてもらい、しばらくは何度も眺めて、にやけていた。だけど、高校生になってからは見なくなった。

これだ、これ。

あ、やっぱり高梨支配人だ。髪が今の方が短いが、全然変わっていない。今日見た顔、そのまんまでキリッとしているのだけど、優しそうな顔立ち。

すぐに思い出せなかったことが悔やまれるけれど、思い出せてスッキリした。

高梨支配人は私のことを覚えているだろうか。

あれからたくさんのゲストを迎え入れただろうから、私との出来事なんて一瞬だろうけど。

でも、覚えているかどうか確認したい。聞いてみてもいいかな。覚えてくれていたら、あらためてお礼を伝えたい。

ホテルで働きたいと思ったのは、あなたに出逢ったからですと……大袈裟に思えるかもしれないけど、あの時、彼の優しさと笑顔に触れたから、今の私がいる。

それまでの私は中学を卒業して、高校、大学に進学して、どこか会社に就職するんだろうと現実的な未来図を描いていた。
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