俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
恋人は何があっても、誰よりも大切な人
リーバスの、夢を見た。幸せだった頃の夢。こんな幸せな日々が、ずっとずっと続くと信じていた頃の夢……。

今は誘拐されて、鎖でつながれて、恐怖に必死で耐える日々。リーバスやみんなのことをいつも考えていて……。

でも、私にリーバスを想う資格なんてもうないんじゃないかな。だって私は、リーバスを傷つけてしまったから……。

「おい、起きろ!」

冷たい声に私は目を開ける。ジャックが声と同じように冷たい目で私を見つめていた。

「……何?」

私は震える声で訊ねる。

ジャックは何も言わずに服のポケットから鍵を取り出す。そしてそれを、私の足枷に差し込み足枷を外した。

「えっ?」

驚く私の首輪もジャックは外す。首輪をつけていない首に、ひやりと冷たい空気が触れた。

「……解放してくれるの?」

私は希望を抱きながらジャックを見つめる。ジャックは「違う」と首を横に振った。

「ここは広い。掃除くらいはしてもらおうと思っただけだ。言っておくが……」

ジャックは拳銃を取り出し、私の胸に押し付ける。

「逃げようとしたら、容赦なく打つ」

低い声でそう言われ、私の体を冷や汗が伝う。何度拳銃を向けられても、この恐怖に慣れることはない。むしろ、恐怖は日に日に大きくなっている気がした。
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