俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
ジャックは私の腕を強く掴み、銃を私の体に当てたまま外に出る。監禁されて初めて外に出してもらえた。

部屋の外の空気は、自由への一歩のような気がした。部屋の外に出て、自分が地下に監禁されていると改めて感じる。暗い足元に気をつけながら、私とジャックは階段を上る。ちなみに、私の手には重い手錠は付けられたまま。

階段を登り、長い廊下を進む。自分がどこに監禁されているかわからなかったけれど、ただのお屋敷ではなさそうだ。

「ジャック、ここはどこなの?普通のお屋敷じゃないよね。すごく広いし…」

私は恐る恐るジャックに訊ねる。すると、ジャックはニヤリと笑って教えてくれた。

「ああ。ここは屋敷じゃねえよ。ヴァイオレッド城ーーー城だ」

ヴァイオレッド城と聞いて、私の記憶が蘇る。ここはリーバスと来たことがある場所だ。

ドリス国で私が暮らし始めた頃に、リーバスとここに来たことがある。このお城で開かれたお祭りに参加したのだ。
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