きらきら光る
左手を見たあとは右手をとる。
私の手のひらに残る何本もの大きな傷跡を大きな筋張った手でなぞる。

その顔があまりに切なくて先生の手があまりに熱くて動けない。


「藤田陽咲さん」
私の名前が呼ばれて私は病室に入った。先生は待合室にそのままいる。





いろんな想いが溢れて自分でも止められない。
先生に見つめられるたびに、先生の声を聞くたびに、止められない想いが勢いを増す。
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