きみの理想の相手

「久しぶりだね。何してたの?」

おぅと言い、右手を上にあげて笑顔で話してくれた。

「お久しぶりです。今日仕事休みですか?」

「そう、休み!それより、輝くん。駅周辺になんかあったの?」

恵さんは、人のことに対してだけは敏感で、自分のことになると鈍感だ。

前に恋愛に対しても、そうみたいと愚痴を零してくれたことがあった。

「……何もないですよ」

「そう。じゃあ、話したくなったら連絡して。
学校にしろ恋愛のこととかね」

恵さんはじゃあと手をあげて、去ろうとしていた。

だが、俺は恵さんに聞いてほしかった。

その時、恵さんの心境なんてお構いなしに、理実さんのことを話した。

だけど、恵さんと理実さんが繋がっていたなんて思いもしなかった。

< 97 / 154 >

この作品をシェア

pagetop