あかいろのしずく
僕は純の言葉が信じられませんでした。
純は顔をごしごしと拭うと、まだ潤んだままの目で僕を見上げます。
「もしかしたらいい知らせじゃないかもだけど。絶対メールする」
なんて返したらいいのか、一瞬迷いました。
もうこの時点で僕達の関係が変わりつつあることを、分かっていました。
だから今ならまだ引き返せるだとか、こんな女の子に手を出してはいけないだとか、そんな思いが頭を過りました。
でも、周りの意見じゃなくて、僕がどうしたいのかと聞かれれば、答えは一つでした。
「待ってます」
僕が頷くと、純は笑いました。
それから向きを変えて、足音のする方に駆けて行きました。
怖くない。怖くない。
君なら大丈夫。がんばって。
僕は助けられないかもしれない。
僕じゃダメなのかもしれない。
でも、だからこそ。
そんなことが起こらないように、君が傷つかないように、ただひたすらに祈ろう。
今僕にできるのは、きっとそれぐらいでしょうから。