あかいろのしずく
そう思いながらも、本当のことを話したいと思う自分がいる。聞いてもらいたい自分がいる。だって目の前にいるのは優しい彼だから。
怖い怖い助けて!って、さっきみたいに泣いて、叫んだとしても受け止めてくれるんでしょう?
「ショウトくん」
「はい」
「さっき私に怖いか、って聞いたね」
ショウトはもう一度、はい、と頷いた。
私は表に出すまいと堪えた涙を飲み込んで、頷いて苦笑いする。
「怖いっていうかね、ちょっとしんどいや」
......分かんない、なあ。
どうして気づかなかったんだろう。
あの時の手紙は嘘だったんだ。
私に待っててほしいなんて、誰も本気で思ってなかったんだ。
教室に一人ぼっちだったとき、本当はすごく、すごく悲しかったんだ。
「......あんたは違うんですね、やっぱり」
ショウトが独り言を呟くように、言う。