あかいろのしずく
違う? 私が? 何と違うんだろう。
「そいつとは違う」
そう言って目線を向けるのは、壁にもたれて目を閉じているアズマ。ドキリ、と心臓が驚く。そういえば、喧嘩みたいな空気になっていたんだっけ。
それを思い出して、変な空気を作らないようにと、私はすぐにこう切り出す。
「ダメだったの、あの時は。知らせられなかった。私も分かってたんだよ、知らせないとって。でも先のことを考えたら、二人とも言えなくて」
クローゼットにいた時、迷った。本当は知らせたかった。
でも全員を助けられるかもしれない賭けにのるには、見捨てる選択肢を選ぶしかなかったんだ。
言い訳かもしれないけど、伝わっていないかもしれないけど、それでも私は必死になってショウトに言った。