あかいろのしずく
ドアが開く音がした。二人の視線がそちらへ向く。




私はようやっと、そこで気づいた。



いつの間にか自分まで涙を流していること。そのせいで一瞬、それが誰なのか分からなかったのだ。



輪郭はぼやけ、ただ、こちらに向かってくる影が大きいこと以外、何も分からず。でも、それで誰なのかを判断するのに十分だったのは、言うまでもない。



光を反射したシルバーペンダントは、歩くたびに点滅するように胸元で輝く。




「――――」




彼は最初にこう断った。



これは独り言だから、反論するのはおかしい。
黙って聞いてほしいと。
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