あかいろのしずく

それから先生が帰ってきて、部屋をのぞいた時、私達はもう何もかもどうでもいいと諦めきった目をしていた。これもアズマの作戦の一つだった。



昨日脱出に失敗したことで諦めを感じていると思わせるため。

そしてその通り、先生は私達を見るなり安堵の息をついて、食料を置いて出て行った。


いつものように食事を済ませると、後は適当にお喋りをする。


けど、前のように空気は重くない。四日後ここから出るという目標ができたからかもしれなかった。




時計の針はもうじき一時を指そうとしていた。









ところで、まだ誰の前でも口にはしていないのだけれど、私には、ここに来てから何度も思うことがある。
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