あかいろのしずく


この部屋には窓がある。


いや、窓は他にもいくつかあって、壊すことさえできればいいのだ。つまり出口は沢山ある。けれど、出るための方法がなかったり、それを実行する勇気が私達にはなかったり。


先生によって封じられているんだろう。

そして、それをとてももどかしく思うのだ。







前にユズキと一度、こんな会話をしたことがある。







『携帯を持ったのはいつ? 私は中学生の時だったよ。周りはほとんど持っていたからね』




放課後の誰もいない教室だった。

内容は、私が言ったことを聞き返したユズキが言う通り、携帯を親から与えてもらったのはいつなのか、ということ。



私は高校生になってからと親に言われていた。別に私は早く携帯が欲しかったわけじゃなかったし、それに反対はしなかったけど。
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