あかいろのしずく
時計を見ながら起きていたら、あっという間に二時間が経った。寝られない。まだ寝られない。



と、そこでふと気づく。
冬休みと一週間休んだことで、私の生活は完全に昼夜逆転していた。


今日はしっかり昼寝もしたし、今はあまり疲れていない。夜型だからすぐに寝られない訳だ。


一人で納得して秒針を目で追いかけていた私。




「ナナカ」




私の名前が闇の中に響き渡ったのは、秒針が長針と重なったちょうどの時。



最初は聞き間違いかと思った。だって、アズマが私を呼んだんだもの。
何もないのに呼ばれるなんて、また「呼んだだけ」で済まされるだけだと。



思う反面、期待する自分がいる。
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