あかいろのしずく
その時は冗談なんじゃないか、って思っていた。
けど、私はふと気づいてそこで足を止めたんだ。



大部屋を目の前に立ちどまった私を、アズマは見下ろしていた。私から数歩遅れて立ち止まった先で。



じゃあ、「あかいろのしずく」というサイトを知っていたのも、アズマがそれに手を出しているからだったんじゃないか、って。

たしかドラッグを無料で渡しているとか言ってたよね?


じゃあ、今まで不機嫌だったのも、クスリを絶えず服用してないからだったとか。




アズマの衝撃の発言に、不幸にも次々に謎が解けていく。
嘘でしょ? 本当にドラッグを?


真剣に考え始めた、その時だった。




「ふ」



急にアズマが噴き出して、声を殺して笑い出したのだ。
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