あかいろのしずく


 





部屋に戻ってきてまず感じたのは、ただならぬ違和。



そこにはショウトとその真正面から向き合う少女の姿があって。




「だーかーら! もうすぐ来るって言ってるだろ!」

「なんやねん! 場所ぐらい教えてくれたってええやないかボケ!」

「女の子がボケとか言うな!」

「はあー!? 男女差別すんなや!」



男であるショウトにも負けない大声――もしかしたらそれを上回るかもしれない――
で渡り合うのは、制服姿で小柄な少女。

が、初対面ではない。何故ならその女の子は、



「サキちゃん?」



そう。サキなのである。



サキは私を見るなり、今まで無表情だったのとは対称にぱあっと顔を明るくして、こちらに向かってきた。



「ナナカ先輩!」



ひゃー!
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