あかいろのしずく
廊下に出て、気づかれないようにさっと大部屋の方を見る。


明かりの落ちた部屋のドアは微かに開いていた。まだ中にいる。
サキとサユリさんとショウトがおそらく待っているはずだ。早く何とかここから離れないと。


気を引いたのはいいけど、もっと何か、いい方法は。



そう思い、先生に支えられながら廊下を歩いている途中だった。








唐突に、アズマが立ち止まった。
私と先生は数歩前を進んでから、遅れて足を止める。


個室まではもう一メートルもなかった。あとほんの二、三歩で、ドアノブに手が届く距離にあった。アズマがどうしてそこで立ち止まったのか、二人は分からないでいた。




「アズマくん? どうかしました?」

「......」





先生の問いかけに、アズマは何も答えない。
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