あかいろのしずく

重い瞼をうっすら目を開ける。

大きく揺れる視界には、まつ毛の上に積もった粉雪と暗い世界と、誰かの頭。泣きながら隣を歩く女の子。前方で顔を赤くしながら、こちらに振り向く少年。

紺のコートが揺れる。瞬きをすればほろりと、まつ毛の上から粉雪が転がり落ちた。嘘、うそでしょ。






「ショウト......くん?」




目が、合った。

ぴたりと三人の動きが止まって、視線がこちらに集まる。

なに、どうなってるの?
意識が覚醒しないせいで頭がまわらない。体が酷く重い。今見ているのは幻覚?ショウトがいる。ショウトが、目の前にいる。


ショウトは口をパクパクさせた後、しまった、と言わんばかりに頭を押さえた。


それから「急ぎますよ」とぶっきらぼうに言い放ち、もう一度前に歩き始める。



懐中電灯の光が照らす道を、私はサユリさんの背中におぶられて進む。


あの建物は? 先生は?
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