あかいろのしずく
「......すみません」
僕は俯いて謝りました。
立ち上がると、女性に手を差し出します。女性は無言で僕の手を取って立ち上がりました。それからぱんぱんと、汚れのついたワンピースを手で払います。
怪我はないですか。僕がそう聞くと、女性はキョトンとして首をかしげます。それから何故か、僕を見て笑いました。
「もしかして新人さん? さっきここに来たとか?」
「え、そうですけど......」
「へえ、そうなんですね。あのですね、ここは怪我しないし病気にもならないですよ」
そういえば、そうです。
さっき子供たちも、言っていた気がします。そうか、ならよかったです。僕は一応、確認することにしました。
「天国ですか、ここは」
「はい、そうですけど」