あかいろのしずく
天国に来てもそれを受け入れられないでいる。誰のせいだとは言いませんが、それは事実です。でも、なんだか僕は信じられませんでした。

目が覚めたら純が迎えてくれるような、そんな場所だと思っていたから。
本人が目の前にいないことが、どうしようもなく不安でした。


そんな中で「あ、そうだ」と、女性が思い出したように言いました。




「さっきのはこっちも不注意でしたが、今日は向こうで結婚式もあるらしいので、あまり騒がしくしてはいけませんよ」


結婚式。その言葉が体に大きくのしかかりました。息が苦しい。涙が、出そうだ。膝から崩れそうになるのを堪えて、僕は苦笑いしました。




「............。はい、すみません」




僕は、変なのでしょうか?
ただ、好きな人に会いたいだけなのに。
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