あかいろのしずく

眠っているみたいに目を閉じて死んでいた純。
霊安室で一人で泣いたこと。
見つからなかった遺書。
はっきりしない自殺の動機。

それを知りたくて立てた計画。

手を出した危険なサイト。
利用した友達の存在。
五人の高校生の誘拐事件。
逃げ出した四人。
火をつけて燃やした建物。
潰れた体。
失われていく体温。
流れ出る赤色の雫。
消えていく意識。


目が覚めて広がっていた白。
心地いい世界。
やっと出会えた大切なひと。
果たせなかった約束。

そして、別れの時間。



一年の間に沢山のことがあった。
純がいなくなって、ずっと生きているのが辛かった。
辛いことばかりだった。そして今からも、死にたくなるような罰を受けるのだろう。逃げ出したいよ。

けど、もう一度会えてうれしかった。もうこれで十分だ。
ありがとう、さようなら。


純に会えて、良かったよ。
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