広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き
「広瀬くんってかっこいいし、優しいし、かなりモテるじゃない。でも誰に告白されても『勉強に集中したい』って断るんだよね」

その話は私も知っている。

真面目な広瀬くんらしい理由だなー、なんて思っていた。

「でもさ、受験生でもないのに、今時そんな理由あり?って感じじゃない。だからそれは建前で、実は本命がいるんじゃないかって前から噂になってて……」

弥生が意味深な視線を私に向ける。

「え、ま、まさかそれが……」

「そう。二人きりでご飯を食べるなんて……というわけで、本命は和花じゃないかってもっぱらの噂に」

「え!いや!そ、そ、それはないよ」

確かについこの前、広瀬くんから告白されるんじゃないかとうぬぼれたばかりだけれど。

冷静に考えると、私と釣り合うわけなんてないし、広瀬くんは私より料理に興味津々という感じだ。

……あ。

でも待てよ。

じゃあ、さっきの更級さんの態度ってもしかして……。

「…………」

「和花?

あのさ、色々言っちゃったけど、付き合ってないなら自然と噂はおさまっていくと思うよ?だって普段はあんまり関わることないから……」

「………う、うん。ソダヨネ……」
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