広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き
……違うんだよ、弥生。

確かに付き合ってはいないけど。

今までは関わることはあまりなかったけれど。

でも今は少しだけ繋がりがある。

実は料理が好きな広瀬くんと、食べるのが大好きな私の間に生まれた繋がりが。

どうしよう。

これから広瀬くんと一緒にいる機会も増えるかもしれない。

そうしたら噂はおさまるどころかヒートアップしてしまうかも。

私たちはそういう関係ではないのに、たくさんの人が誤解してしまうかも。

それは困るよね。

広瀬くんにも迷惑がかかる。

「うううう……」

「……和花、ほらほら、たっちゃった噂は仕方ない。どうにかなるって。

それよりご飯早く食べなよ。珍しく箸が止まってるじゃん」

私が考え込んでしまったせいか。

噂について話した張本人の弥生が、話を切り替えてくれた。

……まあ。確かに。

お腹が空いていたらろくな考えは浮かばないか。

よし、食べてからまた考えよう。

定食の唐揚げを一口でパクッ。

うーん。おいしいーー!

サクッ、じゅわ……。

鶏の旨味と、舌をつつみこむジューシーな脂。

唐揚げって本当にえらい。

間違いない幸せをくれるから。

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