広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き
「和花、ただいまー!お土産あるよー」

お母さんが私を呼ぶ。
私はお土産という言葉に喜んで階下に降りていった。

「お母さん、お帰りなさーい」

リビングに入ると、まだスーツ姿のお母さんがどっかりとソファーに座っていた。
少し疲れている様子だ。
最近お母さんは特に忙しいみたいで、帰るのも遅い。
仕事が好きだから楽しいといつも言っているけど、やっぱりちょっと心配だ。

「お母さん、お疲れだねー。大丈夫ー?」
「平気平気。和花の顔見たら元気出たー。はい、お土産。うちの新商品だよ」

そう言ってお母さんは手のひらに乗るくらいの小さな紙袋を渡してくれた。
開けると、薄いピンクの綺麗な小瓶。
つるんとしたガラスの瓶に、シルバーの蓋。蓋の上には桃色のラインストーンがきらめく丸い飾りがついている。

「わあ、かわいい。これって香水?」
「そう。学生さん向けの淡い香りのパフューム」
「へえー」

試しにちょっぴりだけ手首にふきかけてみる。
淡く可愛い香り。果物みたい。
ハッキリとしたにおいではなく、さりげなく香ってくる感じだ。



< 89 / 93 >

この作品をシェア

pagetop