仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「さくらぁ、今夜、空いてる?」

「何ですか?」

「田中君、今日、契約取ってくるから、
お祝いにパァっと飲みに行かないかな…と
思って。」

「いいですね!
だったら、暁里さん、部長も誘ってください
よ。」

お? 加藤、ナイスアシスト!!

「えぇ!?」

「金曜日だって、暁里さんが部長を連れて
帰っちゃうから、全然喋れなかったんですよー。
金曜日の穴埋めしてください。」

「うぅ…、一応、聞いてみる…」

「暁里さん、私も行ってもいいかしら?」

は!?

割って入ってきたのは、上村。

「え?
上村さん、田中君と面識ありました?」

暁里が驚いて尋ねる。

ある訳ないだろ。

「ありませんよ。
でも、仕事する上でも、営業さんとは仲良く
しておいた方がいいと思うので、私も混ぜて
いただきたくて。
ダメですか?」

あー、鬱陶しい。

上村が俺狙いなのは、金曜の歓迎会でよく分かってる。

加藤との会話で、俺が参加するであろうことを確信した上での発言に決まってる。

こういう条件にしか興味がない肉食女子は、俺の1番嫌いなタイプだ。

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