仮想現実の世界から理想の女が現れた時
くくっ
こいつ、キスがにんにく臭くなるとかって気にしないのか?

いや、暁里のことだ。

この後、俺がキスしたいと思ってることすら、考えてもいないんだろう。

まぁ、2人で食べればお互い気にならないだろ。

俺は、こっちに来てすぐに見つけたお気に入りのラーメン屋へ向かった。

暁里は餃子とラーメン、俺はそこに半チャーハンを付けた。

「んー、おいしい!!」

暁里が一口食べるなり、幸せそうに言う。

「だろ?」

この店が美味いのは俺のおかげでもなんでもないのに、なぜか得意げに言ってしまう。


2人でお腹いっぱい食べて、俺の部屋に帰った。




俺は暁里の荷物を部屋の隅に置き、2人で並んでソファに座る。

暁里の手を握り、指を絡めると、暁里は首をことん…と倒して、俺の肩にもたれかかった。

暁里が甘えてくれてる!?

なんだろう?

きゅんと胸の奥が締め付けられるような、このまま力任せに抱き潰してしまいたいような、妙な感覚に襲われる。

俺は左手を暁里のうなじに添えると、首を傾ける。

「あ! 待って、悠貴さん!」

キスまであと少しというところで止められても、やめるわけないだろ。

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