仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「では、明日、契約書を持って田原がお伺い
しますので、よろしくお願い致しします。」

俺は、立ち上がって挨拶をする。

その時、ふと思い立って聞いてみる。

「あの、もし下の店舗で指輪を作って
いただくとしたら、何日くらい
かかりますか?」

「指輪というと、結婚指輪や婚約指輪
ですか?」

「はい。」

隣で田原が驚いた顔をしているが、気にせず話を進める。

「でしたら3ヶ月程の猶予をいただきたい
ですね。
お式の日取りなどは、
もう決まってらっしゃるんですか?」

「あー、そうですかぁ。
じゃあ、無理ですね。
来月、プロポーズしようと思ってるので、
もし間に合うなら、こちらで…と思ったん
ですけど。」

オーダーメイドで作ってやれればよかったんだけど、仕方ないな。

「そうなんですね。
来月の何日か決まってますか?」

「20日が彼女の誕生日なんです。
その時に渡せればと思っただけなので、
気にしないでください。」

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