仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「………はい。」

禁酒って、そんなに落ち込むほどの事か?

「飲みたい時は、俺を呼べ。
ちゃんと連れて帰ってやるから。」

俺は慰めるように瀬名の頭を撫でた。

「はい!」

途端に明るい返事を返した瀬名は、満面の笑みを浮かべる。

ほんとにこいつは表情がくるくると変わって、見てて飽きないな。



俺たちは、雷門で写真を撮り、煙を浴び、お参りをした。

「部長はどんなお願いをしたんですか?」

「そりゃ、決まってるだろう。
瀬名がもう酒を飲みませんように…だ。」

「えぇ!?
ひどくないですか?」

「くくっ
冗談だよ。
瀬名は、何を祈ったんだ?」

「仕事がうまくいきますように。」

そうだよな。
職種変更させられたばかりで、まだ不安だよな。

「それなら大丈夫。
絶対、叶うから。」

俺はまた瀬名の頭を撫でた。
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