仮想現実の世界から理想の女が現れた時
2人は挨拶を終えると開発課で説明を受ける。

俺は今日も瀬名と外回りへ出る。

「瀬名、行くぞ。」

「はい!」

俺が声を掛けると、瀬名は慌てて鞄を持ってついてくる。

くくっ
そんなに慌てなくてもいいのに。
こいつの中では、俺はまだ鬼なのか?


エレベーターに乗ると、瀬名が口を開いた。

「部長、金曜、土曜と送っていただいて、
ありがとうございました。」

「ああ。
でも、瀬名はこれから禁酒だから。
守れよ。」

俺は笑って答える。

「2人もSE入ったんですね。」

「くくっ
瀬名の穴は1人じゃ埋められないだろ?」

「………違いますよね?」

「まあ、元々、SE不足で残業が多かったんだし、
これからもっと仕事が増えるからな。」

SEの補充は、初日に瀬名と面談した時から決めていた。

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