仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「料金を今、お支払いいただきますと、明日
チェックアウトの手続きをする事なく、
そのままお帰りいただけますが、いかが
いたしましょう?」

「今、払います。
これで。」

俺はカードを出してサインをする。
50万を一括払い。
それも暁里のためなら、惜しくはなかった。

鍵を受け取り、俺たちは9階に上がった。

「うわぁっ
何これ!?」

部屋に入るなり、暁里が嬉しそうに興奮した声を上げる。

ひと通り、暁里が部屋や景色を満喫した頃、俺は声を掛けた。

「疲れただろ?
シャワーを浴びておいで。」

暁里は、それまでの無邪気な姿から一転して固まった。

そして、そのまま耳まで真っ赤に染めて、床を見つめながら答える。

「はい」

ぎこちなくバスルームに向かう暁里。

ほんとに初めてなんだな。

そう思うと、俺までなんだか緊張してくる。

優しく…
大切に…

暁里を思うだけで、胸の奥が締め付けられるような甘く切ない思いに囚われる。

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