仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「うん。延長したい。」

俯いていた顔を上げて、暁里ははっきりとそう言った。

「じゃあ、空室があるか聞いてこよう。」

俺は目の前のホテルに向かった。

神さま、どうか空いてますように。


俺は、フロントで尋ねる。

「予約はしてないんですが、今夜泊まれ
ますか?」

「本日は大変混雑しておりまして、
スイートルームのみのご案内となります。」

「構いません。」

うん。
暁里との特別な夜だ。
寧ろ、スイートがいい。

「では、こちらがお部屋のタイプと料金で
ございます。
8階の方はすでに他のお客様がご利用
いただいておりますので、9階のどちらかの
お部屋になります。
こちらが、ツインのタイプで、こちらが
キングサイズのベッドのお部屋でございます。」

「こちらの1番いい部屋をお願いします。」

「かしこまりました。」

俺が宿泊カードに記入するそばから、カウンターの中でカタカタと入力する音が聞こえる。

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