君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
茜はおばあさんのところに引き取られたときに、小学校を転校していて、この町に戻ってきたのは、高校入学時だと創は言う。
だから、茜の本当の事情を知っている人間も、少なからず居るのだろう。
それでも。
「おれは、茜が優しい環境で生きられていることに、本当に感謝をしてるよ。
だからこそ、その環境をぶち壊そうとするやつが居たら、絶対に、許さない。
タケのことは、信用してるけど、それだけは、忘れないでね」