君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

 そう言って、にっこりとあくまでもいつもどおりに創は笑った。


 信用しているといいながら、釘を刺してくる創は、本当のところ、俺をどのくらい信頼しているのだろうか。



 そんなにも守りたいなら、二人だけの秘密にして、ずっと茜を閉じ込めていたらいいのに。


 そんな風に思ってしまう俺は、このとき何か良くないものに当てられていたに違いなかった。

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