君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

「――――俺、女って、だいっ嫌いだ」


 茜が、ポツリと言う。その表情は俺からはうかがい知ることは出来ないけれど、泣きそうな顔をしていなければいいのにと、思う。


「………、茜」


「何しても自分なら許される。そう思ってんだよ。あいつら。ほんと、嫌いだ」


 それは、茜が捨ててしまった特権なのだろうか。

 女の子なら、誰だって、守られたいと、そう思っているのだろうか。

 でも、茜は守ってもらえなかったんだ。
 そして、その権利を放棄したんだ。せざるを得なかったんだ。

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