君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
 
 美羽が良く行きたがるのは、かわいい小物が売っている店であったり、甘くて美味しいタルトが有名な店であったりしたが、そのどれもが可愛らしくて、綿菓子のような雰囲気の美羽には、なんだか似合っていた。 


 おれの腕にその華奢の腕を絡ませながら、繁華街を歩む美羽は、幸福そうにおれには見えた。


 まぁいいか。そんな風に思う。

 こんなおれが、誰か一人でも幸せにしてやれることがあるのなら、それは奇跡に近いのかもしれない。

 だから、きっと今のこの環境は、おれにとってけして悪いものじゃないのだろう。



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