君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

「ねぇ、創。次、あのお店行きたい」


 初めて会ったころから半年ほど月が流れて、明るい茶色だった美羽の長い髪は、ダークブラウンに変化していた。本人曰く、冬を意識してのことらしい。


 そんなおしゃれのことしか考えていないような、小さな頭をなぜると、何故だか落ち着いた。
 そして少しだけ胸が痛くなった。それは罪悪感のようでいて、自責で不吉な、感覚のようでもあった。


「はいはい、美羽、あそこの店好きだな」


「うん!だってかわいいんだもん」
 
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