君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
「そんなことないよ。
ただ、ひとりで見に行ってもつまんないし、美羽も前茜がバンド組んだ話したら、演奏聞きたがってたから、ちょうどいいかなって」
それでも。自衛を、おれはしてしまう。美羽の存在は、おれにとって最後の盾だった。
茜が悲しそうな、寂しそうな表情をみせる。
――ごめん、茜。
もう少しだけ、待ってて。そしたら、もう絶対に、そんな顔、させないから。
おれと茜が本当の意味での『親友』に戻らなかったら、未来が消えてしまう。
それだけは、絶対にいやだった。