君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
「でもさぁ、そう。すごいと思わねぇ?
 あの時、俺らと出逢ってなかったら、タケは今頃、当たり前みたいに私立行って、勉強いっぱいしてたんだろうなぁとか。
 俺は俺の歌いたいように、好きな歌を歌ってただけだけど、
 それがタケの人生を変えたんだ。

 なんか、すごくうれしい。
 そんで、それから。
 俺の歌に、心預けてくれたタケが、すごい好きだ。

 すごいうれしい。すごい幸せ」


 そう言って笑う茜の顔は、だいぶ赤くなっていて、ろれつも怪しくなってきている。

 かなりアルコールが回ってきているらしかった。

 おれは、茜の話をいつもどおり、やさしく聞いてやりながら、あやす様にそろそろお開きにしようかと、茜に告げる。

 しかし、おれの予想通り、茜は嫌がってみせた。

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