君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

 茜は、女の子なんだと、俺は思う。

 だって、そんなの創を見ている茜を見たら、一目瞭然だ。
 なのに、なんで、茜も創も、それを認めようとしないんだろう。



「おい、景太。お前、また顔腫らしてどうしたんだよ」


 貸しスタジオでの練習の合間に、アクエリアスを差し出しながら、明弘が眉をひそめた。

 それに俺はへらとしまりがないとよく言われる顔で笑い返す。

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