君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
「ちょっと、過保護な彼女の兄貴に叩かれちゃったんだよね、いたずらが過ぎるって」
「え、おまえ女いたのかよ! ずっとフリーだっつってたくせに」
拗ねたようにそう言った明弘に、べしっと頭をはたかれた。
本人は軽くのつもりなんだろうけれど、それでも叩かれれば痛い。
抗議のつもりで睨みあげたのに当の本人は全く気にせず、なぁ彼女可愛い? どんな子だよ、とせっついてきた。
こうなってくると、明弘はしつこい。ため息ひとつで俺は口を開いた。