君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―




「――――――茜」

 会いたい。
 笑ってほしい、笑いかけて欲しい、抱きしめたいし抱きしめて欲しい。キスがしたかった。
 これ以上ないほどくっついてしまいたかった。 

 そうすれば、もう俺は、後悔なんて。


 店内に流れるやたら明るいBGMだけが嫌に、耳について、もっともっと透明な茜の声が聞きたいと、ただただそう思った。

< 353 / 395 >

この作品をシェア

pagetop