君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

Side T 【発覚】

「さっきのラストは最高だったな!俺、マジで興奮したよ」


「うん!本当に良かったよ。
―――な、景太。お前もそう思うだろ?」
 

 景太、と。自分の名前を呼ばれて俺はあわてて頷いた。


 明日の待ちに待った『Parks』でのライブに向けて、市内の貸しスタジオで最後の練習をしてきた帰り道だった。


 練習を終えた後にいつも感じるのは軽い疲労感と、

 脳の神経がいつまでも冴えている様な、

 それでいて麻痺しているような、

 そんな甘い痺れ。



 
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