君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―
「このまままっすぐ家に帰って日付変わる前に布団はいってやるから、任せとけ!」


 そう言って俺は保の薄い背中を叩いた。
 俺から見ればうっとうしいだけの保のロンゲも、俺たちのバンド『A―Dreams』のファンの女の子たちには格好良く映るらしかった。


 俺が茜と創を追いかけて入った今の高校の軽音部で俺は明弘と出逢って、明弘の中学時代からの友達だった保と出逢った。

 保は高校には通っていない。
 
 夢を掴むためだって、本気で音楽で食って生きたいから、高校なんていっている暇はないんだと、以前べろんべろんに酔っ払ったときに聴いた記憶がある。

 
 そんな保と、純粋に音楽が好きだった明弘と、俺がバンドを組むことになったのは必然だったのだと思う。



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