約束のエンゲージリング
「、、奥様って鈍感ですね。旦那様が心配されるのも分かります。、、ではこの後お食事までお時間がありますので本館にオススメのお土産コーナーに行かれてみて下さい。きっと旦那様も一緒について来られると思いますよ。」
「いえいえ、、過保護ではありますが、さすがにそこまではしないと思います。」
「〝絶対〟についていかれますよ。年の差婚って意外と歳上の方が気が気じゃないんです。誰かに取られるんじゃないかって。私がそうですから間違いありません。でもやっぱり歳上としての見栄とかプライドとかありますから分かりにくかったりしますけどね?旦那様は全然隠してないみたいですけど。」
意外にも若女将は既婚者だったようで少しだけホッとした。
しかも歳下のご主人がいるというカミングアウト。
こんなに美人な方でも心配になるんだなと驚きつつも苦笑いを浮かべる。
彼と私は夫婦なんかじゃない。
だから若女将の言うような事にはならない。
そう思ったが、あえて彼の話題には触れずにお礼を述べる。
「浴衣、ありがとうございます。お土産コーナーには食事の前に行ってみます。」
若女将は小さく会釈すると微笑みながらふすまをそっと開けた。