約束のエンゲージリング
「大変お待たせ致しました。奥様の着付けが終わりましたのでこれで失礼致します。お食事は19時からとなっておりますので、それまでごゆっくりとお寛ぎ下さいませ。」
「はい、ありがとうございます。」
彼と一言だけ言葉を交わした若女将はそのまま部屋を出て行った。
若女将の後に続いて彼のいるふすまの向こうにでると、彼もいつのまにか浴衣に着替えていて普段見慣れない姿にドキッとした。
「わっ、、!マサ兄も浴衣着たんだ。」
「男性用は選べないけどね?女性用と違って簡単に着れるから着てみたよ。千佳の浴衣、よく似合ってる。」
「ありがと、、。あ、さっき若女将が教えてくれたんだけど本館の方にお土産コーナーがあるんだって!食事まで時間があるからみに行ってくるねっ!マサ兄はゆっくりと寛いでて〜。」
浴衣姿の彼がカッコよすぎて、直視できず部屋を出ようとすると急に手首を掴まれた。
『待って。むやみに出歩かないで。俺も一緒に行くから。』
「だ、大丈夫っ!迷子にはならないから。本当に大丈夫だから。食事の時間には戻ってくるよ。」
『いや、駄目だよ。前科だってあるの忘れてる?ほら行くよ。』
強引に手を引かれ、部屋を離れた。