約束のエンゲージリング
彼の強めの口調に俯いて小さく頷くと頭を優しく撫でられた。
何事かと顔を上げると、目を細めた彼と目が合って心臓が跳ねる。
『千佳が心配だから言ってるんだからね。あまり自覚がないようだけど、千佳は本当に魅力的な女の子なんだから。』
先程までのピリピリした空気は一変し、頭を撫でていた大きな手はゆっくりと頬へと優しく這っていく。
そんな大事そうに触れられたら勘違いしてしまいそうになる。
彼にも魅力的な女の子に見えているならどうして私じゃ駄目なんだろう。
他の誰かではなく、彼に振り向いて欲しいだけなのに、、。
前回は〝彼女〟今回は〝妻〟として。
それがその場しのぎの嘘だったとしても彼の隣にいると諦めていた筈の想いがまた再燃する。
もう少しだけ頑張ってみたくなる。
「マサさん、、私やっぱりっ、、「牧野様、お食事の準備をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「っ、、、!」
言いかけた所でノックの音と若女将の声が聞こえ、弾かれたように彼から離れた。
急気まずくなって黙り込むと優しく手を引かれた。
『お願いします。、、千佳、食事が来たみたいだよ。ほら座ろう?』
私の大好きな優しい笑顔で微笑まれたら、素直に頷くことしかできない。