約束のエンゲージリング
向かい合って座ると若女将を筆頭に仲居さんが料理を運んでくる。
テーブルには次々と料理が運ばれて来て、気づけばテーブル一杯にご馳走の数々。
「わぁ!凄いご馳走っ!!ね!マサさんっ!!」
『そうだね。』
「ふふ、ではごゆっくりとお召し上がり下さい。」
『はい、ありがとうございます。』
ご馳走を前に子供のようにはしゃぐ私とは対照的に落ち着いた彼はやっぱりどこまでも大人で自分が恥ずかしくなる。
部屋を出て行く旅館のスタッフさんに顔を引き締めて慌てて頭を下げたが、すくすくと笑われてしまった。
真っ赤になって落ち込んでいると彼の優しい声が耳に響く。
『そんなに落ち込む必要ないよ、千佳。可愛いと思っただけだと思うし。それに自慢の料理を褒められて嫌な気分になる訳ないしね。俺がここのスタッフだったら嬉しいから。それより折角の料理が冷めちゃう前に頂こう?』
「、、うん。」
その優しい言葉に顔を上げると、手を合わせこちらを優しく見ている彼と目が合う。
それを見て彼同様にゆっくりと手を合わせてた。
『「頂きます。」』
2人の声がピッタリと重なって、つい可笑しくて笑い合いながら料理に手を伸ばした。