約束のエンゲージリング
やっぱり私は彼に抱かれたんだ。
真実を知り、様々な感情がうごめく。
それは戸惑いや混乱の中でも好きな人に抱かれたんだという女としての喜びがあったりと訳の分からない感情で埋め尽くされる。
こういう時、どう返していいのか分からず黙り込んでいると更に強めの口調で彼が言葉を放つ。
『それとも〝酔ってたから〟とでも言う?確かに相当酔ってたね。でも悪いけど無かった事にさせる気ないんだよね。こっちは。俺は千佳と違って魔が差した訳でも流された訳でもないから。』
まるで私だけを責めるような言い方に酷く傷ついて笑顔を保てない。
じゃあ貴方はどういう気持ちで私に触れたの?
私と違ってって、、一体私の何を知ってるっていうの?
25年間、貴方だけを想ってきた。
あんなに一緒に過ごしてきたのに、つい最近までそんな事にも気づきもしなかったくせに私だけ責められるのはおかしいと思う。
そう思うと段々とイライラしてきて、彼に掴まれている手を力一杯振りほどいた。
「、、マサさんって意外と純粋なんだね。私より随分と大人だからこういうの軽く流してくれると思ってた。もし、私に気を遣ってるんだとしたらそういうのいいから。私だってこういうの、は、、初めてじゃないし。」